恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
呆れた声を漏らしたら、腕の中の彼女がしゅんと目を伏せた。
……ちょっと、言いすぎただろうか。彼女を心配するあまり、どうしてか最近説教臭い男になってしまう。
本当はもっと直接的に彼女を甘やかしたり寄りかかられる存在になりたいのに、それが叶わないせいもあるのかもしれない。
片想いをこじらせている面倒な男。自分でもそう思うが、脈があろうとなかろうと神崎さんをあきらめる気がまったくないのだから仕方がない。
「迷惑かけてすみません……」
俺が生活習慣を責めるようなことを言ったからか、腕の中で小さく身を縮めて申し訳なさそうにする神崎さん。
そういう顔をさせたいわけじゃないのに、彼女のこととなると俺はどうも不器用だ。
「気にしなくていい。というか、もっと遠慮なく迷惑をかけてほしいくらいだ。きみの前で頼りない自分に気づくのは、結構つらいものがある」
好きな相手になにもしてやれないなんて、これ以上のもどかしさはない。しかも、これまで俺は幾度となく『きみの力になりたい』と伝えているのに。
「真城さんは頼りなくなんてありません……」
「だったら、俺にもそう思わせてほしい。口を開けば〝大丈夫〟ばかりのきみが、弱音を吐き出したり、素直に助けを求められる相手でありたいんだよ」