孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
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韓国、仁川国際空港からおそよ二時間半。
昨日の夕方のフライトで韓国に到着し、昨夜はそのまま現地で一泊。翌日午前のフライトで羽田空港へと戻ってきた。
滞りの無いフライトで到着後のデブリーフィングもスムーズに終え、オフィスを出ながら腕時計を確認した時刻は十三時過ぎ。今日はもうこの後はオフだ。
「遥くん!」
さっさと帰ろうとしていたところ、弾んだ声に呼び止められる。
昨日今日と韓国フライトが一緒だったCAの難波咲菜だ。
「お疲れ」
「お疲れ様です。遥くん、このあとオフだよね? 一緒にランチでもどうかな」
横にぴったりとくっつかれて、出そうになったため息を押し留める。そんな風に気を遣わなくてはならないことがストレスだ。
「悪いけど、所用があるんだ。またの機会に」
うだうだ引き留められるのも苦で、「お疲れ様」と足早に更衣室を目指した。