孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
遥さんに言われた通り、ひとりで外には出ず、関係者エリアで時間を潰して遥さんの仕事終わりを待った。
一時間もしないうちにスマートフォンに連絡が入り、一緒に帰宅することに。
新居に引っ越してからは、会社のタクシー代支給範囲圏内なため、遥さんにはタクシー通勤するように言われている。
遥さんはタクシーで出勤する時とマイカー出勤する時とまちまちのようで、今回はマイカー出勤だったため、帰りはいつものスーパーに寄ってもらってから帰宅した。
落ち合って一緒に帰宅する車内でも、買い物に行った先でも、宮崎さんとの一件にはまったく触れられず。
不自然なほど何事もなかったような話題の出なさに、私の方からも逆に話題を切り出しづらくなってしまった。
もしかしたら、機嫌を損ねてしまったかもしれない。怒らせてしまったかもしれない。
私が自分で対処できなかったから、迷惑をかけてしまったから。
「荷物の受け取り、ありがとう」
そんなことをひとり考えながらキッチンに立っていると、カウンターの向こうから遥さんに声をかけられた。
「あ、はい。適当に部屋に入れただけですので」
先日の買い物で買った収納ボックスが遥さんのフライト中に届き、遥さんの分を彼の部屋に入れておいた。その件だ。
立ち去っていく姿に「あの」と無意識に声をかけてしまう。ずっとひとり考えてもやもやしていたからだろう。
なにから切り出せばいいのか迷うけれど、振り返った遥さんの顔が普段通りでホッとする。