孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
そう言われて、先日のことを振り返る。
映画を観ながらワインとチーズケーキを楽しんだ夜。
私は映画のエンドロールを見る前に、いつの間にかソファに座ったまま眠ってしまっていたらしく……。
いつ寝始めたのかすら覚えてなくて、気が付けば翌朝ベッドの上だった。
もちろん、自分で寝室に移動した記憶もなく、混乱。
翌日に遥さんに尋ねると、彼がリビングから寝室へと私を運んでくれたという。
驚きと申し訳なさで私は平謝り。
ただでさえ私の体重が重いのに、寝ている人を運ぶとなると更に重かったはずだ。
しかし私もどれだけ爆睡していたんだと、自分に呆れかえった。
普通、抱き上げられたりしたら目を覚ましそうなものを……。
「はい、気を付けます」
「嘘だよ、楽しく飲もう。眠ったらまたベッドまで運ぶから」
そんなことをさらっと言われて、顔が熱くなる。恥ずかしいのと、勝手に速まる鼓動に気持ちが落ち着かない。
遥さんにそんな言葉をかけられたら、大抵の女子は心臓をバクバクさせるに決まっている。
スパークリングワインと共に前菜をいただき、コースは続いてスープが運ばれてくる。大きなハマグリの入ったポトフだ。
「最近は、絵は描いてないのか」
スープの中の野菜をスプーンで切っていると、遥さんに尋ねられる。
「あ、はい。新生活を始めてからは、まだちゃんとは描いてないです。休みの日に、描いてあった作品に着色を少ししたくらいで」