孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「だから、航空関係の仕事に就いたのか」
「はい。飛行機と空が好きだから、近くで見守れる仕事に就きたいと思ってました。高いところは苦手なので、客室乗務員とかは目指せなかったですけど……。でも、離陸していくのを『良い旅を』と見送ることと、帰ってきた旅客機に『おかえりなさい』と言えるのが一番好きな仕事なので、私はグランドスタッフになれて良かったです」
自分の話をこんなにしているのは照れくさく、へへっと笑ってみる。
遥さんが真剣な顔をして私を見ていたのに気付き、微笑んでスープの残りに取りかかった。
「そうか。グランドスタッフの仕事は、真白の天職だな」
「天職……だといいなと思って、仕事してます」
気を付けて飲んでいるけれど、もしかしたら少し酔い始めているのかもしれない。
少し前、飲み終えたグラスにスタッフが二杯目を注いでいってくれたところだ。ほどほどに飲むように気を付けよう。
スープが終わると、続いて魚料理がやってくる。「サーモンのミキュイです」とスタッフがプレートを置いた。
「遥さん、聞いてみたいことがあるんですけど、いいですか?」
遥さんと知り合ってから、いつか機会があったら聞いてみたいと思っていたことがある。
「空の上から見る景色って、どんな風に見えますか」
私がまだ、自らの目で見たことのない世界。
それを日常的に見ている遥さんに、どんな風に目に映るのか訊いてみたかった。
遥さんは、魚料理に取りかかろうとしたナイフとフォークを止める。