孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
クルーズ船は、東京湾をぐるりと二時間ほどかけて進んだ。途中、海から私たちの勤務する東京国際空港も望め、クルーズ船からも離着陸をする航空機を眺められた。
クリスマスイブの夜に贅沢なフルコース料理をクルーズ船でいただけるなんて、私にとっては夢のような時間だった。
再びクルーズ船乗り場に惑ってきたのは、二十一時をまわった頃だった。
遥さんが手を貸してくれ、クルーズ船から降りる。
迷惑をかけないように、お酒はほどほどにしておいた。
それでも体はすっかり温まり、寒空の下に出ても心地いい。いい気分、といったところでいいお酒の呑み方ができたと思う。
「遥さん、今日はありがとうございました。まさか、こんなクリスマスイブを過ごせるとは思いもしなかったです」
遥さんを見上げ、タイミングを逃す前に感謝の気持ちを伝える。
「この装いも、私のために用意してくださったのが嬉しかったです」
「こちらこそ、付き合ってくれてありがとな」
「付き合ってくれてだなんて! 私、こんなに素敵なクリスマスイブを過ごしたのは生まれて初めてでした。すごく、思い出になりました」
笑みを浮かべていた遥さんの顔が、どこか驚いたように笑みを消す。
変なことを言ってしまっただろうかと不安になった時、遥さんが私の耳元に唇を寄せた。