孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~


 今年もいよいよ一年が終わりに近づく十二月二十八日 。

 航空業界は年末年始は繁忙期にあたり、お正月休みを地方や海外で過ごす人々で賑わいをみせる。

 今日は遅番出勤だった私は、私とはすれ違いで夕方帰宅する遥さんの夕飯の支度をしてから家を出てきた。

 クリスマスイブの夜の一件から、遥さんとは特に変わりなく過ごしている。

 あの翌日は私は今日のように遅番の出勤で、お昼ごろ遥さんに見送られて仕事に向かった。

 一夜明けると、とんでもないことをしてしまったとまず動揺した。

 初めてのことで、体も疲労していたけれど、なにより遥さんに気持ちをぶつけてしまったこと。それが気がかりで……。

 遥さんはきっと、私に好意を持たれるのは想定外。

 彼に対して憧れや好意を抱いていない私だからこそ、この偽装結婚を申し出たのだ。

 それなのに、その私が遥さんに想いを寄せてしまう展開となれば、それはこの偽装結婚の失敗を意味するも同然。

 朝目覚めても、ベッドの中で彼に愛された体を抱きしめてひとり思い悩んでいた。

 でも、遥さんは「おはよう」と私を抱きしめ、まるで本当の夫婦のような幸せな朝を迎えた。

 どうしたらいいのかわからず、普段通りに顔を見せ、会話を交わす。

 遥さんの方もいつも通りの様子で、昨夜の熱く甘い夜は夢だったのかと思うほど穏やかなクリスマスの朝だった。

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