孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
結局、そこからお互いの勤務の状況でじっくり顔を合わせて話せていない。
あの夜に聞いた遥さんの声が耳の奥から消えずに残っている。
『好きだ、真白』
あれは、クリスマスイブの魔法だったのだろうか。
制服に着替え、鏡を見ながらグリーンのスカーフを整える。
最近はいろいろ考えてしまうけれど、仕事に入る時は仕事以外のことは頭の中から排除。
プライベートなことが原因で仕事にミスをするなんて許されない。
更衣室を出てオフィスに向かっていくところ、通路の曲がり角で人と正面からぶつかりそうになって足を止める。
その相手が客室乗務員の難波さんで、一瞬ハッとしたものの「すみません」と頭を下げて通りすがった。
「ちょっと待って」
ところが、引き留めるように彼女の声がかかる。
振り返ると、じっと真顔で私の顔を見つめた。