孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「いつ捕まえて言ってやろうかと思ってたの」
客室乗務員の制服を身に纏った難波さんは、腕を組んで私を睨む。ピンク色の艶々の唇が開くのを黙って見ていた。
「いつ、どうやって、遥くんに取り入ったの?」
航空関係者専用の通路には、様々なオフィスへと多くの人々が行き交う。
今だって横を通りがかっていく人がいるのに、難波さんはお構いなしにそんな場所でプライベートな話を問い詰めてくる。
「取り入ったって……私はそんなこと」
「じゃあ、どうしてあなたみたいななんでもないグランドスタッフなんかと一緒になるとか遥くんが言い出すわけ? どんな手を使ったか言いなさいって言ってるの」
「あの、こんな場所でする話では──」
「関係ないわ! ここで十分よ!」
この横柄な態度は、やはり父親が上層部にいるからだろうか。多少のことなら許されるのかもしれない。
でも、みんな何事だろうと注目して通過していく。
「答えなさい。遥くんは、安い女にそそのかされるような、その辺の馬鹿な男じゃないわ。だから不思議なのよ、あなたなんかと」
難波さんの声の調子は、ますます怒りを露わにヒートアップしていく。
私と結婚したという話を聞き、相当許せないのだろう。
自分と一緒になる予定だった相手。親からのお墨付きもあり、間違いないと思っていた未来。
それが、急に現れたよくわからない女に横取りされていったのだから、信じられないし許せないのは当然だ。
でも、私には遥さんとの約束があるし、役目がある。
彼は、彼女との結婚を阻止したくて私に話を持ち掛けてきたのだ。