孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「断られる意味がわからないし、理由もわからない。お父様だって、私たちのことはふたりで仲を深めてから家族で食事会をしたりしようって」
相手の女性は、客室乗務員の難波咲菜。
高坂機長とよく一緒にいるのを見かける彼女は、父親が『JSAL』の上層部にいると聞いたことがある。
『JSAL』の御曹司で操縦桿を握る高坂機長と、上層部に父親がいて尚且つ自身も客室乗務員の難波さん。
まさにつり合いの取れたふたりだ。
込み入った話の最中に通りがかってしまった自分の間の悪さを恨み、努めて何食わぬ顔でその場を通過する。
心の中で『すみません~』と謝りながら、なるべく気配を消して……。
「なんだ、先に出てると思ったら」
「えっ──」
そよ風のように通り過ぎていこうと思ったのに、なぜか高坂機長が前に立ちはだかる。
自然な動作で背中に手を添えられ、まるで私が高坂機長のお連れ様のような図になっていた。なに、これ。
「いい機会だから話しておく。もうすぐ結婚することになってるんだ、彼女と」