孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
もうすぐ結婚、彼女と──。
そこだけ聞けば高坂機長が口にしてもそこまでおかしな言葉ではないけれど、目の前で起こっている状況がおかしい。
だって誰がどう見ても、私がその相手として紹介されている構図なのだ。
なぜ、おかしい……!
「どういうこと? 結婚? その子と?」
「ああ。交際していることは、別に公表していないから誰も知らないけどな」
勝手に繰り広げられる話に、心の中で『ちょっと待って!』と突っ込むものの、込み入った状況に実際の声は出せない。
難波さんは今さっきの可愛らしく困った様子から、抗議するような険しい表情を見せている。
「そんなこと、お父様が納得しないわ」
「君のお父さんには、俺からきちんと話しておく。結婚したい相手が自分にはいると」
高坂機長の言葉を受け、難波さんは驚いた表情のまま静止する。
次第にその大きな目が潤んできて、かと思えばキッと私の顔を睨みつけた。
恐怖のあまり思わず後ずさりした私を、高坂機長が受け止める。
「行こう」
そう言って私の肩を抱き、立ち尽くす難波さんの元を去っていく。
一体どうしたものかと緊張状態のまま連れて行かれたのは、関係者専用になっている駐車場方面。
ハッとして周囲に誰もいないことを確認し、「あの!」と足を止めた。