孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
見せられたスマートフォンにはメッセージアプリのQRコード。交換を求められ、半信半疑でその画面を凝視してしまう。
そんな状態の私に、高坂機長は「早く」と急かす。
「あ、は、はい!」
慌ててバッグから自分のスマートフォンを取り出し、メッセージアプリを開いた。
「えっと、どこを見たらその交換のQRコードが……」
「ホームを押して、右上の歯車のところ」
「あ……ここか。すみません」
普段、あまりこうして人と交換する機会も少なく手間取る。高坂機長が私のスマートフォンを指さし教えてくれ交換画面が出せた。
「じゃあ、改めて連絡する」
「あ、はい」
高坂機長は「お疲れ様」と言ってひとり駐車場方面へと歩いていった。
なんだったの……?
離れていく上背のある後ろ姿を見送りながら呆然と立ち尽くす。
信じられないことが怒涛の勢いで押し寄せて、処理しきれないまま嵐は過ぎ去っていった。
ひとりきりになって数十秒後、手の中にあるスマートフォンに目を落とす。
メッセージアプリを開くと、友達の中に『高坂遥』と彼の名前があり、本当に高坂機長と連絡先の交換をしてしまったのだと改めて信じられなかった。