孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~


 これは何十畳あるのだろう。実家のリビングの数倍はある。四、五十畳だろうか。

 しかし、奥に見える広いガラス窓の向こうに広がる景色に足がすくむ。

 あの目の前まで行ったら、怖くて震えてしまうに違いない。

 いつも、空港の展望デッキすら苦手で、上がる時は手前の方までで留めておく。

 小学生の時は社会科見学で都庁の展望台に上がることがあったけれど、先生に事情を話して上がることを辞退した。

 二十七階なんて、人生で初めてきた高さだ。


「好きに見てもらって構わない。個人の部屋は、どちらの間取りがいいか選んでくれ」

「はい、わかりました」


 リビング、ダイニングキッチン、洗面室にバストイレ。他に洋室が三つあり、ひとつずつ見て回る。

 でも、時折見える窓からの景色に〝ひっ〟となって落ち着かない。

 こんな状態でここで住めるのか不安しかない。


「どうした、なにかあったか」

「えっ?」


 ひと通り見て回り、リビングの片隅に佇んでいると、高坂機長が訝しげな顔をして私を見つめてくる。


「気分でも悪いのか。顔色が良くない気がする」


 指摘され、ドキッとしてしまう。反射的に「だ、大丈夫です!」と声が出ていた。

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