孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「いやぁ、でも、素敵なお家ですね!」
「来た時から様子を見ていて思ったが……もしかして、高いところが苦手だったりするか」
「えっ!」
まさかのご名答に素っ頓狂な声が出る。
「高所恐怖症、なのか……?」
普通なら高層階からの眺望に感動したり、いつまでもガラスに貼り付けて眺めていたり、きっとそんな反応なのだろう。
それが、ガラスからなるべく離れ、外を見ないようにしているのだから察しがついたのかもしれない。
「すみません。少し、苦手というか……」
もう隠してもしょうがないと観念して正直に白状する。
「謝ることじゃない。どうして隠してたんだ」
そう訊いた高坂機長は、「いや……」と言葉を続ける。
「初めに確認しなかったのが悪かった。ここに連れてこられたら、言いづらくもなるよな」
「すみません。でも、少しずつ慣れるように努力してみますので」
高坂機長はスマートフォンを手にし、どこかに電話をかけ始める。
「慣れる? 無理に努力する必要はない。あ、お世話になっております、先ほどご連絡いただきました、本日入居の高坂です」
通話の相手との会話が始まり、黙ってその様子を見守る。
「──急ですが、低層階の物件の空きがあれば、移りたいと思い。もしなければ、別の物件でも構わないです」