孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~


「いやぁ、でも、素敵なお家ですね!」

「来た時から様子を見ていて思ったが……もしかして、高いところが苦手だったりするか」

「えっ!」


 まさかのご名答に素っ頓狂な声が出る。


「高所恐怖症、なのか……?」

  普通なら高層階からの眺望に感動したり、いつまでもガラスに貼り付けて眺めていたり、きっとそんな反応なのだろう。

 それが、ガラスからなるべく離れ、外を見ないようにしているのだから察しがついたのかもしれない。


「すみません。少し、苦手というか……」


 もう隠してもしょうがないと観念して正直に白状する。


「謝ることじゃない。どうして隠してたんだ」


 そう訊いた高坂機長は、「いや……」と言葉を続ける。


「初めに確認しなかったのが悪かった。ここに連れてこられたら、言いづらくもなるよな」

「すみません。でも、少しずつ慣れるように努力してみますので」


 高坂機長はスマートフォンを手にし、どこかに電話をかけ始める。


「慣れる? 無理に努力する必要はない。あ、お世話になっております、先ほどご連絡いただきました、本日入居の高坂です」


 通話の相手との会話が始まり、黙ってその様子を見守る。


「──急ですが、低層階の物件の空きがあれば、移りたいと思い。もしなければ、別の物件でも構わないです」

< 50 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop