孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~


 営業担当とのやり取りを見ている限り、契約した物件を変更するというのにスムーズで段取られたようだった。

 普通の客にはこんな対応してもらえないだろうから、やはり『JSAL』の御曹司という肩書きがあるからかもしれない。

 そのまま業者が荷物を二階の物件に運び込み、二十七階からの引越しが完了した。


「わぁ……庭がついてる」


 二階の物件は間取りは上階と同じようなものの、リビングのガラス窓の先はバルコニーになっていて緑の植え込みもある。

 中央にはすっと背の高いシマトネリコがシンボルツリーのように立っていて、小さな葉がさわさわと揺れていて癒される景色が広がっていた。


「ここなら住めそうか」


 バルコニーを眺めていると、いつの間にかとなりに高坂機長が立っていた。

 きめ細かい肌と整った顔を間近にして緊張が高まる。

 こうして直接関わりを持つようになった今でも、ふとした時にどきりとしてしまう。


「はい、ありがとうございます‪」‬‬‬‬‬‬

「俺は今から契約の関係で少し出かけてくる」


 急に物件を変更したから、手続きなど余計な用事が増えてしまったのだろう。

 申し訳ない気持ちが押し寄せる。


「すみません、お手数かけてしまって」


 また謝った私に、高坂機長はフッと口角を上げた。


「そう思うなら、今晩一緒に食事でもしよう。今後のことも話したい」

「わかりました」

「荷解きとかして過ごしてくれ。夕方頃には戻れると思う」


 高坂機長はそう言ってひとりリビングを出ていった。

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