孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「そうだな。まぁ、そんなに難しいことはないと思ってる。もうこうして一緒に住む形にもできたし、あとは必要があればお互いをパートナーだと紹介すればいい」
「なるほど……」
「だからといって、公表するわけではない。実際は籍を入れているわけではないからな。逆に、夫婦だと言われたところでそれを偽装だと暴くことも難しい」
パスタをフォークにくるくると巻き付け「相当手の込んだ調べ方でもしない限りな」と言った。
「確かに、そうですね」
「今どきは姓も旧姓のまま働く女性も多いからな。そういうことにしておけば問題ない」
職場の人間に対して、接客業であれば客に対して旧姓のほうが馴染みがあるという理由で結婚後も元の名前を名乗っているのは私自身の周囲でもよく聞くことだ。
「要するに……高坂機長であれば、難波さんに対して私が妻だという話にするということですよね」
「ああ。あと、必要があれば両親や彼女の親たちにも。親たちが繋がっているから、少し厄介だな」
「事情は詳しくはわかりませんが、ひとつ疑問に思うのが私と結婚したということにしてご両親はなにも言わないんですか?」
難波さんは父親が会社の上層部にいるご令嬢という立場だ。だから縁談の話が持ち上がったに違いない。
親同士も知り合いという安心感ある縁談を蹴って、どこの馬の骨かもわからないグランドスタッフの私と一緒になったなどと知れば、待て待てとなるのではないだろうか。