孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
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透き通ったアメジストのようなゼリーの中に、大粒のぶどうが三つ。
スプーンでつつくといい感じにふるふると揺れる。
「いただきます」
食器を下げ始めた彼女に声をかけると、「はい、どうぞ」とてきぱきとした声が返ってきた。
少し前のやり取りを思い返し、思わず笑いが込み上げる。
『いや、それは、いろいろな意味で問題がありませんか?』
動揺を露わにした姿に、ちょっとからかってみようかと試しに少し攻めた言い方をしてみた。
期待していた通りの反応が返ってきてワクワクが止まらない。
キッチンに立つ彼女の姿を目に、やっと話がまとまったことに安堵と達成感のようなものを感じている。
偽装結婚──こんな話を持ち掛けられて、彼女が引き受けると頷いてくれるのは難しいかもしれないと思っていた。
案の定、ほとんど即答でお断りをされた。
信じられないという驚きの表情。〝この人はなにを言っているの?〟と、そんな怪訝な表情も垣間見えた。
それでも誠実な彼女は、日を改めた交渉日に応じてくれた。
そして、真面目に話を受けられない事情も話してくれたのだ。
そんな彼女の姿勢をますます気に入ったことは言うまでもなく、なんとしてでも話を引き受けてもらいたいと思った。