極愛〜狙われたら最後〜
雫はグッとナイフを持つ手に力を込める。

しかし雫の瞳は大きく揺れ、迷っている。
本当に俺を騙していたならこれは恰好のチャンスだ。

「ほら、殺るんだ。早く!」

俺は大声で怒鳴る。

殺れよ。
俺の事をなんとも思ってなければ殺れるはずだろ?

何故その手は震えてる?

何故迷ってる?

そして雫は小さく首を横に振った。

「……ない」

「雫!」

「できないっ!」

俺は更に雫の手を握ったまま首に刺そうと力を込める。

「雫。愛してる」

言ってくれ。お前もそうだと。
だから殺れないんだと。
俺の首からツーっと一筋の鮮血が流れた。

「嫌だ! やめて…、やめてっ…龍臣っ…」

雫は俺の手を泣きながら必死に止めるように引っ張る。

俺はそれでもやめない。
お前が言うまで。
お前が認めるまで。

「龍臣っ! お願い…もう…やめて…」
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