極愛〜狙われたら最後〜
「何よそれ」

そう言って私はバッグに忍ばせていたナイフを取り首目掛けて刃を向けた。

その瞬間すかさずパシっと素手で彼は刃を握った。

そこからポタポタと流れる赤い雫。

そして表情ひとつ変えず狂気じみた眼差しで私を見下ろす彼の視線に耐えられず、私は思わずその手を離してしまった。

彼はそのままナイフをハンカチで拭き取り私のバッグにそっと戻した。

「はい、返すな。いい動きしてるわ」

なんて言って余裕そうに笑う。
笑っていてもやはりどこか…怖い。

「私あなたをいつかやらないと殺される」

恥を忍んでそんな事を言う。

「大丈夫。俺がそんな事させない。妻になるならな」

そう言いながら手の傷をそのままハンカチを当ててグッと結び止血した。

「どういう意味よ」

「フリでも妻は妻だ。守るさ」

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