【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
死の森に囲まれたナンザイ王国、古代神殿跡──現在の神殿では聖女が豪華な椅子に座り、優雅に紅茶を飲んでいた。
瘴気で汚染された結界柱はものの数秒で浄化でき、歴代最強と言われるエリアナ・グリーンである。しかし、その中身は公爵令嬢ヴァイオレット・ズルイータだ。
聖女は紅茶のカップを置くとつややかな銀髪をさらりとかき上げ、渋い顔つきをしている神官をにらんだ。
「まったく、嘆かわしいですわ。どうしてわたくしが祈りの間の清掃をしなければなりませんの。下人か、下級神官の仕事ではなくて?」
「ですが、聖女さま以外は祈りの間に立ち入ることができません。今までなさってきたことではありませんか。それなのに最近は清掃をさぼっているために、祈りの間は汚れる一方。祈らなければ貴女さまはご加護を得られなくなりますよ」
「なにを言うのです。そもそもわたくしは聖女。祈らなくても聖なる力は保てていますわ。あなたがたこそ、祈りが必要ではありませんの?」
神官はあからさまに顔をゆがめ、はぁ~と大きな息をつく。
「まったく、この私に口答えをなさるとは、困ったものですね」
「黙りなさい!」
「なにを、生意気なっ」
「神官ごときが、わきまえなさいと言っているのです! その聖女のわたくしが立ち入りを許し、あなたが清掃をなさいと命じているのですよ。さっさと仕事をなさい!」