【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
背筋を伸ばし、威厳ある聖女の佇まいに神官はぐっと唇を結んでひるんだ。ここ数か月間、ずっとこうだ。今までなにを言われてもあきらめた表情をして従っていたのに、どうしたことか。まるで別人になったかのようだ。
「聖女のわたくしが足を踏み入れても構わないほどに祈りの間を清潔にできたら、神への祈りを再開いたしますわ」
「……聖女さまのお考えを神官長に報告いたします」
なんとも奇妙な気持ちを抱きながら部屋を辞した。
神官はずっとエリアナの世話をしてきた。孤児だったエリアナが聖女の力を示したことで、貴族出身の神官たちは疎ましく思い蔑んできた。
本来ならば護国の聖女は丁重に遇するものだが、王国での孤児は蔑視の対象である。両親不明のために国民として認識していないからだ。
いわばよそ者。当然というべきか、聖女の選定も受けることができない。
そんな孤児であるエリアナの聖なる力が認められたのは偶然だった。先の聖女が力を失い、新たな聖女の誕生を心待ちにして、神殿に魔物から取り出したばかりの魔石を置いて国民に触れさせていた。力を持つものが触れれば魔石は浄化される。
だが力を持つものは一向に現れず、神殿内にはこのまま聖女が誕生しないのではという焦燥感が漂っていた。
そんなとき神殿の施しを求めてふらふらと迷い込んだのがエリアナだった。
「おねがいします……たべものをください……」
ボロボロの身形で髪も肌も汚れてやせ細っていたため、「けがわらしい! 邪魔だ!」と貴族の護衛に突き飛ばされて、たまたま魔石にぶつかったのだった。
瞬間真っ黒な魔石がぱあぁっと白く光り、浄化されるどころか聖なる力を宿した。神聖な光を放つ魔石を前に、誰もが呆然とするしかなかった。
しかしいくら聖なる力を持っているとしても、エリアナはみすぼらしい孤児でしかない。