【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
エリアナが触れて状態が良くなったのなら、原因は悪しき力だ。呪い、瘴気、毒、いずれかだろう。そのどれもが王宮にあってはならないもの。今ここで解呪したと伝えないほうがいい気がする。
けれど、この先も警戒するには伝えたほうがいいとも思う。
どうするべきか。
事件の匂いに、マリービクスが「まずは殿下にご相談を」と耳打ちしてくる。
そうだ。エリアナが解呪したならば、ルシータはもう『腹痛』にはならないのだ。ならば、ルードリックのアドバイスを聞いてからでも遅くはないだろう。
「たまたま、症状が治まる時だったのかもしれませんね。痛みが治まっても宮殿医に診てもらったほうがいいですよ」
「はっ、ピンクシルバーの髪……あなたは……そう……そういうことですのね。ご配慮に感謝いたします」
ルシータは自分がすべきことを覚ったのか瞳を凛とさせ、美しい所作で礼をとった。侍女を伴って小道を歩いていく。
「エリアナさま、あの方は陛下の妃候補のおひとりのようです」
「そうなのね」
賢く気高い印象を受けた彼女はアマンダの居住まいに似ていた。妃候補筆頭のご令嬢かもしれない。
「……エリアナ!」
幼い男の子の声がして振り向けば、宮殿の入り口に立つ小さな影と、それを囲うマクスをはじめとする護衛騎士たちの姿があった。頼れる存在を目にした安堵から、エリアナの表情に笑顔が浮かぶ。
「殿下! おかえりなさいませ!」
「エリアナ。この姿のときは、殿下と呼ぶなと言ったはずだ」
幼児姿のルードリックが不機嫌そうに眉をひそめている。
「すみません、ですが……」
どうにも恐れ多いのだ。
パーティ以来、カフェでの一幕のように『ルードと呼べ』と要求されたので、『その呼び名では殿下のお名前が推測されてしまいますので、愛称としてデンカとお呼びします!』と力説したら、さらりと『ならばリックで』と決められてしまった。