【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
──影って、なんのことかしら?
「それに、解呪師への依頼は魔術師部長官・トーイに通す必要があるだろう。皇帝のくせにいろいろ省きすぎだ」
「トーイは承認済みだ。解呪師殿には『社交を身に着けるいい機会ですよ』との伝言だよ。あとはエリアナの返事をもらうだけだ」
「エリアナ、断ってもいい。大公として許す」
気迫のこもった二人の視線が集まり、エリアナは答えに窮した。
ルシータの容態の悪さを思い出せば、解呪師として依頼を受けたいとは思う。
けれど。
「あ、あの、その前に質問が……妃候補って、具体的になにをすればいいのでしょう?」
陛下は思いもよらぬことを聞かれた、というように目を丸くした。
「ふむ。失念していたな。そこから説明せねばならないのだな」
妃候補たちは王宮に集められ、人柄、教養、社交、行事の采配など、皇妃としての様々な資質を試されている。
実際には与えられたお題をこなし、力量と問題が起こった時の対処の仕方などを見ている。主に評価するのは皇太后だという。
──皇太后さまを交えての社交だなんて、私にできるの?
王国の王太后はエリアナをにらむばかりで口もきいてくれなかった。
陛下の母君ならばそうではないかもしれないけれど、失敗すればどんな叱責を受けるのか、想像するだけで冷や汗がタラタラ流れる。
アマンダたちとのお茶会だって準備が大変だったのだ。帝国の令嬢教育を受けていないエリアナには荷が重い任務だ。不安要素しかない。
「偽の妃候補だとしても、私に務まるとは思えないのですけれど」
ほかの方法で潜入できないか。
やんわりと拒否をにじませると、陛下はきょとんとした表情で「そんなことはないだろう」と首をかしげた。