【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
ルードリックの懸念
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エリアナがヴァイオレット・コールとして任務を始め、数日が経った日の夜。
夕食を終えたルードリックは部屋に戻り、テーブルに置かれていた資料に目を通した。
暗号文字でびっしり書かれているそれは、妃候補の件でエリアナの護衛と密偵をさせている影獅子からの報告である。
皇妃選定の行事は優れた妃を迎えることが前提ではあるが、その陰で権力欲にまみれて不正する輩をあぶりだす目的もある。
過去の事例では皇妃選定に漏れた家が継承権のある皇族にすり寄って旗印とし、帝位簒奪をもくろんで無駄な血を流させた。スサノーンの守護は絶対であり、皇帝は何者にも傷つけることはできないが、知略で追い落とされる可能性はある。
不穏な芽は取り除かねばならない。
ルードリックも旗印になりうる立場だが、極力社交を避けているために担ぎ出される芽は少ない。敵対する勢力はあっても影獅子たちの働きで現状実害はない。
中途半端に力のある者ほど欲にまみれるものだ。
先に行われた選定の場でエリアナは『悪しき力を感じなかった』と言ったが、その後彼女の周りでは不穏なことが起こり始めている。
ビクスの報告によれば、エリアナが突然歩く方向を変えたその先でバツンと解呪の音が響き驚いたという。