【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
そのあとに参加したお茶会ではそこかしこに呪いの靄があったらしく、てくてく歩きまわって土を踏みつけたり空気をつかんだりして、解呪をしていたという。
靄の上がるその場には呪物はなく、エリアナも不思議に思ったそうだが、トーイに尋ねれば『呪術の魔法陣があったようだが、解呪の力で消滅するので痕跡も証拠も残らないようです』ということだった。
呪術消滅……犯人はさぞかし焦っているだろう。近いうちにヴァイオレット・コールがエリアナだと疑われるのは必然か。
──怪しい妃候補は二名か。
「……ビクス」
名を呼べばすぐに姿を現した彼女は影獅子メンバーのひとりで、今は侍女のマリービクスとしてエリアナを護っている。
「殿下。お呼びにより、参上いたしました」
「報告をしろ」
「私見の気になる妃候補は、殿下のご推察と同様に二名です。二名とも表に出す悪意はなく、淡々としていながらもエリアナさまに向ける視線は強く、一名は可憐な令嬢を装っていますが獲物を物色する獣のような気配を纏い、もう一名は悪意を感じませんがエリアナさまを観察しているように見えました」
マリービクスは観察眼に秀でている。当初にエリアナの監視を命じたのもそのせいだ。彼女が挙げた二名の候補はエリアナに害を及ぼせる者だろう。
陰で悪事を働く者は善人を装う。
笑顔の裏では陰険で邪悪な思考を巡らし、誰にも覚られずに卑劣な手段を講じるから厄介だ。
悪意を表に出す者は素直な小者に過ぎなく、無害なことも多い。そうでなくても放置しておけば勝手に自滅してくれる。
先に二名の候補を捕らえて尋問することもできるが、呪術の源が判明するまではヘタに動かないほうがいいか。
──エリアナが頑張っているからな。
エリアナは基本的にぽやっとしていて、自身の持つ力が神級で世界を救う可能性を秘めていることにも頓着ない。
神に愛されている者。