【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
狩場の森 ルードリックのお守り
「いいか、エリアナ。絶対に髪飾りを外すな」
もう何度目だろうか。ヴァイオレットの姿をしたエリアナに、ルードリックは口を酸っぱくしていう。
「はい、殿下。わかっています」
今日は狩りの日だ。
表向きは皇帝陛下の思い付きで決まった狩猟大会だけれど、実際は呪物事件の決着をつけるための催しである。
開催は二週間後という無茶ぶりともいえる招待にも関わらず、多くの貴族が参加を決めたらしい。ルードリックも大公殿下として参加を表明している。
むろん、妃候補たちは問答無用の参加だ。
作戦通りに事が運び、悪役令嬢の任務も今日で終わりにしたいところである。毎日メイクを施すのも、演技をするのも、皇太后と九人の候補を護るのも大変なのだ。
「のちほど狩場で会おう」
「はい、殿下。いってきます」
ルードリックに見送られ、マリービクスとともに集合場所に向かう。
狩りの場となる森の近くでは、とある妃候補一人を外して全員が集まっている。
「みなさま、今日はよろしくお願いしますね」
エリアナは居並ぶ妃候補たちに微笑んだ。彼女たちの身の安全のため、狩猟大会の間はエリアナと一緒に行動することになっている。
「危険とのことですが、なにがあるのでしょうか?」
「それはわかりませんが、わたくしたちを狙っているのは確かなのです」
「真偽のほどはわかりませんが、ヴァイオレットさまのおそばで過ごすのが皇太后陛下のご意志となれば、従うほかありませんわね」
どうにも渋々の様子が多数だけれど、ひとりだけは、目をキラキラさせてエリアナを見つめている。ミカキーテ侯爵令嬢だ。