早河シリーズ第六幕【砂時計】
『小山があの情報屋に惚れるとは予想外だったけどな。お前はずっと香道に惚れていただろ』
「香道さんは亡くなっていますし……。私は今の彼と出会えてよかったと思っています」
原が口笛を鳴らした。
『それはそれは、仲のよろしいことで。情報屋と結婚でも考えているのか?』
「えっと……時期が来たら……こういうことは相手のタイミングもあるので……」
しどろもどろになる真紀を見て原は面白がっている。
真紀は横目で原を見た。原は香道秋彦と同じ歳だ。香道が生きていれば原と同じ、35歳を迎えていた。
「原さんは結婚されないんですか? 前に言っていた美容師の彼女さんとか……」
『美容師の彼女とは半年前に別れたぞ。それに俺、自分は結婚には向かねぇと思ってるんだ。結婚して法律上ひとりの女に縛られるなんて無理。自由気ままな独身貴族でいいさ』
「縛られるのを嫌うところ、原さんらしいですね」
『縛られるのは組織だけで充分。家に帰ってまで女に縛られたくない』
彼はまた大きなあくびをした。真紀も実は寝不足気味だ。
昨夜は家に帰宅したが、前科者連続殺人と阿部のことが心に引っ掛かって寝付けなかった。
前科者連続殺人については被害者となった三人を過去に逮捕した早河とは電話で話をした。
どこか上の空で他人事のような早河の口振りが普段の彼らしくなく、矢野にしても警察庁から派遣された阿部のことをのらりくらりとはぐらかしているように感じた。
(早河さんも一輝も私に何か隠してる)
それが前科者連続殺人に関することなのか、阿部のことか。
早河や矢野とはこれまで戦うフィールドは違っても志《こころざし》は同じ、仲間のような感覚があった。だいたい2年前までは早河も同僚だった。
それだけにわずかに感じる疎外感が真紀を寂しくさせた。
アパートから男が出て来た。あの風貌は強盗殺人犯の宇田川に間違いない。
『よし。行くぞ』
「はい」
原と真紀は雨の降るアスファルトの上に飛び出した。
「香道さんは亡くなっていますし……。私は今の彼と出会えてよかったと思っています」
原が口笛を鳴らした。
『それはそれは、仲のよろしいことで。情報屋と結婚でも考えているのか?』
「えっと……時期が来たら……こういうことは相手のタイミングもあるので……」
しどろもどろになる真紀を見て原は面白がっている。
真紀は横目で原を見た。原は香道秋彦と同じ歳だ。香道が生きていれば原と同じ、35歳を迎えていた。
「原さんは結婚されないんですか? 前に言っていた美容師の彼女さんとか……」
『美容師の彼女とは半年前に別れたぞ。それに俺、自分は結婚には向かねぇと思ってるんだ。結婚して法律上ひとりの女に縛られるなんて無理。自由気ままな独身貴族でいいさ』
「縛られるのを嫌うところ、原さんらしいですね」
『縛られるのは組織だけで充分。家に帰ってまで女に縛られたくない』
彼はまた大きなあくびをした。真紀も実は寝不足気味だ。
昨夜は家に帰宅したが、前科者連続殺人と阿部のことが心に引っ掛かって寝付けなかった。
前科者連続殺人については被害者となった三人を過去に逮捕した早河とは電話で話をした。
どこか上の空で他人事のような早河の口振りが普段の彼らしくなく、矢野にしても警察庁から派遣された阿部のことをのらりくらりとはぐらかしているように感じた。
(早河さんも一輝も私に何か隠してる)
それが前科者連続殺人に関することなのか、阿部のことか。
早河や矢野とはこれまで戦うフィールドは違っても志《こころざし》は同じ、仲間のような感覚があった。だいたい2年前までは早河も同僚だった。
それだけにわずかに感じる疎外感が真紀を寂しくさせた。
アパートから男が出て来た。あの風貌は強盗殺人犯の宇田川に間違いない。
『よし。行くぞ』
「はい」
原と真紀は雨の降るアスファルトの上に飛び出した。