Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
西の村の決戦⑥
暗黒十字は黒い光を発し始めると、辺りを包み込んだ。二つ目の十字架と似ている。が、違ったのはその後だった。地獄ではなく、曼荼羅を敷き詰めたような部屋に閉じ込められていた。
「ふふっ、最後の暗黒十字は、この曼荼羅の結界で相手の醜い感情をエネルギーに変えて、その後に相手を操り人形のようにするのよ」
まずい、とカノープスは思った。母親に対しての怒りが頂点に達しているから、そこにつけいられる。年長者のミモザですら操られた、自分が太刀打ちできるか分からない。
「ぐっ…」
そうこう考えているうちに、カノープスは胸の辺りを抑えた。激しい痛みを感じてきたのだ。
「ぐああ……!」
「あんたは私に憎悪を抱いている。その感情を爆発させて、精神を壊してあげるわ」
このくそばばあめ…!! しまった、怒りを抱くとどんどん痛みが激しくなる。
「カノープス、平常心だ! 心を落ち着けろ!!」
ミモザが叫ぶ。が、痛みは激しくなる一方だ。
――奥義だ。
ふと、脳裏に声が聞こえた。誰だ!?
――紫微垣となるため、奥義を使え!
紫微垣? 奥義? まさか、神の啓示か!?
こうなったら一か八かと、カノープスは自分の七星剣を構えた。
「ふっ、秘剣は通用しないわよ。あんたは通常の力の半分以下になっているんだから…」
しかし、カノープスは構わず技を発動させる。
「八の秘剣・北落師門!!」
その途端、七つの紫の星鏡が外れ、マルケブの周りに落ちた。そこから光の壁が立ち上がる。
「なっ!!」
さらに、壁から無数のとげが現れ、マルケブに向かってきた。
「きゃあああ!!」
とげがマルケブに突き刺さっていく度に悲鳴が轟く。やがて曼荼羅の結界が解けた。
「ミモザ、アヴィオール! 守りを任せた!」
カノープスはもう一本の七星剣を持ち、マルケブに向かっていった。
「アヴィ!」
アルセフィナが膝歩きで寄ってきた。
「アルセフィナ、大丈夫?」
「うん、私は大丈夫よ」
そう言いながら、アルセフィナは折れた3本の七星剣に目をやった。
「七星剣、折れちゃったね…ごめんね、私を守るために」
涙目になるアルセフィナ。しかし、アヴィオールは彼女を優しく抱き寄せる。
「いいんだ、紫微垣は人を守ることが使命だから。それに、僕にとっては折れた方が都合が良かったんだよ」
「え?」
「実は僕、紫微垣になりたくなかったんだ」
意外な言葉であった。二代目紫微垣であるフォマルハウトの一人息子なのに?
「僕、戦うのって苦手なんだ。これまでの修行で得ることは多かったけど…僕は基本的に弱虫だから、戦うのに向いていないんだよ」
「弱虫なんて…」
アルセフィナはそんなことはないと言いたかった。自らを盾にしてまで私を守ってくれたのに、弱虫なんて思わないよ。しかし、アヴィオールは優しく微笑む。
「僕ね、絵本を描きたいと思っているんだ」
「絵本?」
アルセフィナがきょとんとする。
「紫微垣としてではなくて、絵本を描いて世の中に貢献したいと思っているんだ。アルセフィナ、もしこの戦いに生き残れたら…」
彼女を抱きしめる腕に力が入る。
「僕と結婚してほしい。それで、一緒に子供に絵本を読もう」
「…うん」
アルセフィナも細い腕でアヴィオールを抱きしめた。その横で、ミモザがミアプラの髪を優しくなでる。
「ミアプラ…」
おなかに宿った自分の子供…まさか妊娠させてしまうとは思わなかった。けど…責任をとりたい、そして、一緒に育てたい。紫微垣になることにこだわっていたけど、七星剣も砕けたし、もう戦いのない生活をしてもいいんじゃないか。
「ミアプラ、必ず守るからね」
カノープスは自分の七星剣が元に戻ると、二刀流でマルケブに向かっていった。家庭生活を放棄し、自分たちきょうだいを苦しめた母親。今は魔剣コラプサーの持ち主として人々をおびやかしている。このままにはしておけない。
が、マルケブも魔剣を構えて立ち上がった。
「あんた…いい加減にしなさいよ! いつまでも親にたてついて……!!」
「てめえなんか、もう母親とは認めねえ!!」
カノープスは2本の七星剣を構えた。
「八の秘剣・北落師門!」
奥義を、今度はフォマルハウトの七星剣で発動させた。えんじ色の星鏡がマルケブを囲もうとする。
「はっ、そう何度も同じ手にはかからないわよ!!」
星鏡に囲まれる前に、マルケブは飛び下がろうとした。が、足を捕らえられて動けない。
「え!?」
「残念だったな」
彼女の足には土が盛り上がって巻きついていた。足だけでなく、立ちはだかった壁も光ではなく土だった。
「魔人どもの残した星鏡、便利だったぜ。これで終いだ!」
カノープスは自分の剣に水の星鏡を使い、天に掲げた。すると、剣先から水があふれ出し、洪水のようになって一気にマルケブに向かっていった。
「きゃああ!!」
マルケブは人工的に発生させた山津波に飲まれていった。
「ふふっ、最後の暗黒十字は、この曼荼羅の結界で相手の醜い感情をエネルギーに変えて、その後に相手を操り人形のようにするのよ」
まずい、とカノープスは思った。母親に対しての怒りが頂点に達しているから、そこにつけいられる。年長者のミモザですら操られた、自分が太刀打ちできるか分からない。
「ぐっ…」
そうこう考えているうちに、カノープスは胸の辺りを抑えた。激しい痛みを感じてきたのだ。
「ぐああ……!」
「あんたは私に憎悪を抱いている。その感情を爆発させて、精神を壊してあげるわ」
このくそばばあめ…!! しまった、怒りを抱くとどんどん痛みが激しくなる。
「カノープス、平常心だ! 心を落ち着けろ!!」
ミモザが叫ぶ。が、痛みは激しくなる一方だ。
――奥義だ。
ふと、脳裏に声が聞こえた。誰だ!?
――紫微垣となるため、奥義を使え!
紫微垣? 奥義? まさか、神の啓示か!?
こうなったら一か八かと、カノープスは自分の七星剣を構えた。
「ふっ、秘剣は通用しないわよ。あんたは通常の力の半分以下になっているんだから…」
しかし、カノープスは構わず技を発動させる。
「八の秘剣・北落師門!!」
その途端、七つの紫の星鏡が外れ、マルケブの周りに落ちた。そこから光の壁が立ち上がる。
「なっ!!」
さらに、壁から無数のとげが現れ、マルケブに向かってきた。
「きゃあああ!!」
とげがマルケブに突き刺さっていく度に悲鳴が轟く。やがて曼荼羅の結界が解けた。
「ミモザ、アヴィオール! 守りを任せた!」
カノープスはもう一本の七星剣を持ち、マルケブに向かっていった。
「アヴィ!」
アルセフィナが膝歩きで寄ってきた。
「アルセフィナ、大丈夫?」
「うん、私は大丈夫よ」
そう言いながら、アルセフィナは折れた3本の七星剣に目をやった。
「七星剣、折れちゃったね…ごめんね、私を守るために」
涙目になるアルセフィナ。しかし、アヴィオールは彼女を優しく抱き寄せる。
「いいんだ、紫微垣は人を守ることが使命だから。それに、僕にとっては折れた方が都合が良かったんだよ」
「え?」
「実は僕、紫微垣になりたくなかったんだ」
意外な言葉であった。二代目紫微垣であるフォマルハウトの一人息子なのに?
「僕、戦うのって苦手なんだ。これまでの修行で得ることは多かったけど…僕は基本的に弱虫だから、戦うのに向いていないんだよ」
「弱虫なんて…」
アルセフィナはそんなことはないと言いたかった。自らを盾にしてまで私を守ってくれたのに、弱虫なんて思わないよ。しかし、アヴィオールは優しく微笑む。
「僕ね、絵本を描きたいと思っているんだ」
「絵本?」
アルセフィナがきょとんとする。
「紫微垣としてではなくて、絵本を描いて世の中に貢献したいと思っているんだ。アルセフィナ、もしこの戦いに生き残れたら…」
彼女を抱きしめる腕に力が入る。
「僕と結婚してほしい。それで、一緒に子供に絵本を読もう」
「…うん」
アルセフィナも細い腕でアヴィオールを抱きしめた。その横で、ミモザがミアプラの髪を優しくなでる。
「ミアプラ…」
おなかに宿った自分の子供…まさか妊娠させてしまうとは思わなかった。けど…責任をとりたい、そして、一緒に育てたい。紫微垣になることにこだわっていたけど、七星剣も砕けたし、もう戦いのない生活をしてもいいんじゃないか。
「ミアプラ、必ず守るからね」
カノープスは自分の七星剣が元に戻ると、二刀流でマルケブに向かっていった。家庭生活を放棄し、自分たちきょうだいを苦しめた母親。今は魔剣コラプサーの持ち主として人々をおびやかしている。このままにはしておけない。
が、マルケブも魔剣を構えて立ち上がった。
「あんた…いい加減にしなさいよ! いつまでも親にたてついて……!!」
「てめえなんか、もう母親とは認めねえ!!」
カノープスは2本の七星剣を構えた。
「八の秘剣・北落師門!」
奥義を、今度はフォマルハウトの七星剣で発動させた。えんじ色の星鏡がマルケブを囲もうとする。
「はっ、そう何度も同じ手にはかからないわよ!!」
星鏡に囲まれる前に、マルケブは飛び下がろうとした。が、足を捕らえられて動けない。
「え!?」
「残念だったな」
彼女の足には土が盛り上がって巻きついていた。足だけでなく、立ちはだかった壁も光ではなく土だった。
「魔人どもの残した星鏡、便利だったぜ。これで終いだ!」
カノープスは自分の剣に水の星鏡を使い、天に掲げた。すると、剣先から水があふれ出し、洪水のようになって一気にマルケブに向かっていった。
「きゃああ!!」
マルケブは人工的に発生させた山津波に飲まれていった。