蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
廊下に出た人の少ないところで自販機でコーヒーを買っていた結城さんに声をかけられた。

「鷺宮さん!」

「あ、結城さん」

「この前はどうも」

ん?
この前とはいつのことなのかわからない。そもそも私はゲートで見送ることはあっても話す機会なんてほとんどない。私の記憶の中でも結城さんと話した覚えはないので返答に困っていると、クスッと笑い、いたずらっ子のように答えを教えてくれた。

「船上パーティーだよ」

「え」

「この前俺が友達と行くつもりだったんだけど、インフルエンザになっちゃってさ。それで急遽職場にいたあいつを連れて行ったんだ」

なるほど。でもどうして私がいたのを知っているのだろう。どうしたらいいかわからず立ち止まったまま言葉が出てこないでいると、結城さんの方からどんどんと話してくれた。

「あいつ、ああいうのは嫌いだから気がついたらいなくなっていたんだ。でも強引に連れて行った責任もあるし、と思って探していたらデッキで女の子と珍しくいい感じになっていて驚いたよ」

あの時の様子を見られていたってこと? 特別に何かあったわけではなくても身近な人に見られていたなんて恥ずかしすぎる。顔が火照るのを感じた。
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