蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
店を出ると無言のまま手を繋ぎ歩き始めた。
こんなことは初めてだった。今まで何度となく彼と一緒に食事をしてきたが、食事の後に駅まで歩き改札で別れた。自宅まで送ると言われても送ってもらったのは一度もない。人に見られないよういつも気をつけていたのに何故か今日は私に何も言わせないような意志を感じる。
外はちょうどイルミネーションが始まったところでちらほらと見に来ているカップルがいたが混み合ってはいない。これからクリスマスに向けて賑わいを増してくるのだろう。

「今日はどうして結城と一緒に来たんだ?」

突然話かけられすぐに返事が返せずにいると、彼はそのまま話し続けた。

「俺とは人目を気にして一緒に店まで来ることもない。帰る時も極力人に見られないようにしていただろう? それなのに結城とは一緒に歩いてきたんだと思ったら腹立たしくて、悔しくて」

え?
並んで歩きながら話しているし、まっすぐ前を向いたままの彼は背が高いので私からは表情を読み取ることができない。でも彼の言葉に驚かされる。

「結城は良くて俺はダメなのか?」

「そんなことは……」

「俺は君とこうしていつも並んで歩きたいと思っている。それにいつだって何も理由はなくても一緒にいたい」

そう言うと繋がれた手にぎゅっと力が込められた。私だってこの手を握りたいと思っていた。本当に彼を信じてもいいのだろうか。あのCAのように美人で彼に似合う人がいたら私なんてどうでも良くなってしまわないだろうか。先ほど並んでいた彼女の姿がどうしても目の奥から離れてくれない。
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