蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「わ、私は正直なところ不安なんです。実は今日電車の中で桐生さんと、その…CAさんを見かけました。ふたりで手を組んでいたのも見ました。すごくお似合いでした」

桐生さんはきちんと私に話してくれた。だからこそちゃんと正面から向かい合いたいと思った。

「電車の中で?」

「はい。WALの人だと思います。よく見かける方なので」

彼はすぐに思い当たらないようで訝しげな顔をした。そんな様子にヤキモキしたが、すぐに彼は表情を変えた。

「あぁ、原野(はらの)さんか。確かに帰りの電車が一緒だったが、一緒に帰っているつもりはない。勝手に話しかけてきただけだ」

「でも……楽しそうに笑ってました。それに、とてもお似合いのカップルに見えました」

まるでヤキモチのような言葉になってしまったが、出てしまった言葉は取り消せない。もうどうにでもなれ!

「笑い合ってはいないな。相変わらず表情筋が死んでる、と言われたから少し笑って見てやったが」

「でも、でも彼女と腕を組んでましたよね」
 
「勝手にぶら下がってきただけだ。それにすぐ振り払ったぞ」

私には楽しそうに見えた。電車の中でふたりは付き合っているかのような親密さがあった。もうこれ以上彼を問いただすような真似はしたくない。
私はそっと握られた手を解いた。

「ごめんなさい。私は桐生さんとは付き合えません」

「原野さんとは本当に何もない」

「ごめんなさい」

私は一歩後ろに下がると彼は一歩前に進み出た。
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