蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「このまま今日を終わらせたら絶対に後悔する。だから今日は引き下がるわけには行かない」

いつもよりも強引な彼の態度に驚く。でもそれほどに私は思われているのかもと思うと胸の奥が疼く。
いつのまにか彼に手を引かれるとまた歩き出していた。通りでタクシーを拾うと行き先を告げている。乗り込んでからも彼は私の手を離してくれない。何が起こったのかわからないままタクシーはあっという間にマンションに到着した。

「ここは俺のマンション。何もしないと約束するから話がしたい」

彼の強い気持ちに押され、私は頷いた。
入り口のオートロックを解除しエントランスに入ると、まっすぐにエレベーターへと向かった。
彼に案内されたのは5階の角部屋。
玄関を入ると中はシックな色でまとめられており、彼の雰囲気にとても合っていた。
黒い革張りのソファに案内されると彼は一度キッチンに行き、コーヒーを淹れてきてくれた。

「強引に連れてきてすまなかった」

私の前に立つと彼は反省の言葉をかけてきた。

「でも、どうしても今日話さないといけないと思ったんだ。今日を逃したらきっと君はもう俺と話してくれないだろう?」

そうかもしれない。私の中で桐生さんは雲の上のような存在だと思ったから、そんな彼にこれ以上惹かれないように私は身を引いたと思う。
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