蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
反対に結城さんに会う頻度が多く、このところ話かけられることはなくても軽く手を上げてきたりする。彼は無意識に顔見知りだからと思っての行動なのだろうが、今のこの状況では針のむしろだ。結城さんが通るたび、周囲の視線が私たちに集まっているのを感じる。

「今日は大阪へのフライトなのね」

意味ありげなことを私に聞いてくる。主語はなくても結城さんの話だとわかる。

「そうみたいですね」

それだけの返事を素知らぬ顔ですると不服そう。でも何を言っても彼女たちの気持ちは晴れないのだろう。わざとらしく私の方を見ながらコソコソと話していて、すごく感じが悪いが反応する方が損をすると見て見ぬふりをした。
ブリーフィングで申し送られていた車椅子のお客様の対応をすることになっていたが、その方がなかなか現れずに心配をしていたが他のスタッフも気にする様子はない。チェックインカウンターから搭乗口までは遠く分かりにくいのかもしれないとカウンターから出ようとするとスタッフに止められた。

「鷺宮さん、どこに行くの?」

「車椅子のお客様がまだ到着されていないので心配で」

「あなたはいつもそうよね。いい子ちゃんなのよ。チェックインされているのはわかっているんだし、車椅子なのでここにくるまでに時間がかかることはわかるでしょう。それなのに自分だけが心配しているような顔をしないで欲しいわ」

いい子だなんて、そんなつもりはなかった。ただ、心配で近くまで見にいってみようと思っただけだった。

「あなたがカウンターにいない分周りがフォローしているって気がつかない?」

今はまだ特にカウンターを開ける時間前だし、案内ゲートの準備も済んでいるので特に問題はないかと思ったのだが周囲はそう思っていないようだ。他の人たちも私に向けられる視線は冷たいものだった。

「すみません。そんなつもりはなく、ただ気になったので」

「あんまり言いたくないけどあなたがチームワークを乱しているわよ。みんな仲良くやっているのにあなたは単独行動が多いわ」

単独行動って……そんな言い方をされるようなことは何もしていない。でも彼女たちと一緒に食事に出かけたりおしゃべりに花を咲かせることが少ないのは本当だ。カウンターの中で私語をする方がどうかと思うが仲間に入らない私の方が悪いと捉えられている。悔しくて手をぎゅっと握り締めた。
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