蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「改めまして、乾杯」

彼と改めてビールグラスを重ねた。先ほど料理の話をしたが、その時の話通り、私とは味覚が合うのか食べたいものが似ていた。そんな些細なことだけで嬉しくなった。

「瑛人さんはどんな仕事をしているんですか？」

まるでモデルのようなスラリとした体型に180センチはあろう身長、その上やや色素が薄くハーフのようにも見える眉目秀麗な彼はこうして一緒に食事をしていても周囲からの視線を感じるほどの容姿だ。さっきデッキで話していた時だって彼と話したそうな女性たちはすぐ近くにいて、私との会話が終わるのを今か今かと待っていることに気がついていた。多分彼も気がついていたと思うが、気付かないフリをしているのか、彼女たちに目もくれずにいると諦めていなくなった。婚活に来たわけではないから煩わしいのかなと思ったが、それにしても彼目当てに何人もの人が待っていたのを目にすると私は申し訳なく感じていた。

「航空関係で働いている」

「え？」

同じ業界だと聞き本当に驚いた。そしてあることに気がついた。初めて彼に声をかけられた時にどこかで会ったような気がしたのは気のせいではなかった。焦って思わず立ち上がってしまうと彼は声をあげて笑っていた。

「ま、座って」

さっきまでとは打って変わってぎこちなくなくなってしまった私に彼は苦笑していた。クルージング中は少し薄暗かったこともあり気がつかなかったがレストランの明かりの中では間違いなく彼だと分かった。
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