蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「桐生さん、ですよね。すみませんでした。カウンター業務をしています鷺宮と申します」

「知ってる」

「はぇ？」

なんだかおかしな声が出てしまい、それを聞いた彼はまたクスクスと笑っていた。

「知っていて声をかけたんだ。ずっと悠里ちゃんに声をかけたいと思っていたから」

彼の言葉が耳から耳へと抜け出てしまい理解ができない。何も返せずにいると彼は、

「君が鷺宮悠里ちゃんだと分かって声をかけたんだ。たまたま付き合わされたクルージングに君がいて正直本当に驚いたよ。婚活だと聞いてデッキに逃げ出していたら君が来た」

私はあまりに驚いて声を失ったままだが、なぜ彼が私だと分かった上で声をかけたのかも分かった気がした。友人に誘われてきたら婚活パーティーで、逃げ出したら職場で見かけた私がいたんだ。他の人に声をかけられず女性除けにちょうどよかったんだ。

「そうですか。桐生さんの役に立ててよかったです」

「え？　ちょっと勘違いしてる？」

「いえ、勘違いなんてしません。大丈夫です」

そう伝えるとちょうど食事が運ばれてきた。シェアするつもりで頼んだ料理だが一気に食欲がなくなってしまった。
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