蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
ふたりで船に引かれ海の上に浮上する。眼下に見える海の青さと見上げる空の青さに感動する。風を切り気持ちがいい。でも彼は自分で操縦できずにいる不安定な乗り物に不安を感じたようで少し可愛く見えてしまった。

「大丈夫ですよ」

私が手を握ると、笑っていた。

「不思議なんだ。自分が操縦していないのに空にいることが。それに直接風を感じることも。もちろん気持ちがいいと思っているが、勝手が違うというかなんというか……不思議としか例えられないんだ」

気分が悪いわけではなさそうだが、私にはわからない慣れない感覚なのだろう。珍しい姿を見ることができ何だか得したような気持ちになる。徐々に下がってくる時も私と繋いだ手に力がこもっていたのに気がついたが、何も言わずにそっとしておいた。ただ、可愛いなと思ってしまった。
バナナボートも一緒にでき、予約をしておいたが彼は私が水着になろうとするとパーカーのファスナーを下げさせず、むしろギュッとあげられてしまった。水に濡れるからとショートパンツも脱ごうとしたのにそれも許してくれなかった。
反対に彼はTシャツを脱ぐと水着一枚になっていた。
周囲にいた女の子たちグループからの視線に気がついていないのだろうか。私はそれを見てヤキモキしてしまう。それだけではない。
私が水着になることをやめさせるなんて人に見せるのを恥ずかしく思うからではないか。ますます彼の隣にいることの自信が失われていく。

「行くぞ」

そう言うと私の手を引きバナナボートのところにいく。そして私を前に乗せると自分は後ろにまたがり私の背にピッタリとくっついてきた。あっという間にスタートすると右へ左へとボートに引っ張られる。さっきまでのモヤモヤした気持ちが振り落とされるようにスピード感を楽しんだ。振り落とされそうになるたび、彼が私の体を後ろから包みこみ抱き寄せてくれる。そんなドキドキする時間を過ごし私の気持ちも少しだけ晴れたが、浜辺へ戻ってくると私と彼の顔を交互に見てくる表情にまた気持ちが少しだけ落ちた。そんな空気を感じたのか彼は私の腰に手を回すとピッタリとくっつき更衣室へ向かった。
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