狂気のお姫様
「だって俺んとこモヒカンとかいたんだぞ?絶対族じゃん」

「お前の族のイメージなんなの」


「まぁそのモヒカン全部刈ってやったけどな!」と言ってケタケタ笑う鳴は本当に自分のコミュニティ以外の人間には容赦ない。


「俺面倒すぎて走って逃げたんだけど、奴らヤニ吸いすぎて俺に追いつくまでもなくゼエハア言ってたのまじで笑えるくね?」

「夕お前何してんの?」

夕は喧嘩が面倒派。実力がないわけではない、が、わざわざ体力使って喧嘩するなら遊びたいらしい。



「陽介んとこは?」

「俺?遅刻すると思ってよー、真面目にバイクで行ってたら急に曲がり角で角材が顔に…」

「え」

「来たんだけど、ヘルメットかぶってたし避けなくてもいいか、と思って当たりにいったらむしろ角材が折れて、あたふたしてる奴らを無視してコンビニでアイス食ってた」

「お前もお前じゃん」

「いやでもアイス食ってたら奴ら追いついてきやがって、アイス3分の1がパァだわ」


言わずもがなボコボコにした。


「そもそも真面目にバイクで行くってとこもツッコミどころ満載だしな」

なんだよ。遅刻しないよう学校行こうとしてるとこが真面目だろうが。


「蓮ちゃんは?」

「ん?」

「あ、これは話聞いてなかった口だ」

「食べ物と小田ちゃんのことしか考えてねぇんだろ」

「うるせぇぞ」

「図星って顔してるけどな」

「まぁあれだ。どこかの族から狙われてる以上、小田に関わると小田が危ねぇ。しばらくは関わんな」

「…おう」

「あ、これ関わる気満々の顔だ」

「ていうか律ちゃんは?」

「あいつは…」

「大丈夫だな」

「むしろ律ちゃんに殺らせればいいんじゃない?とか思ったんだけど」

「賛成」


とか言ったらあいつはまた怒り出すんだろうけど。


「そういえば奴らに彼女誰だって聞かれたぞ」

「あ、噂の後ろ姿の彼女?」

「女子たちも騒いでたよな」

「まさか逃げる気満々で逃げていった小田ちゃんだとは思うまい」

「で?どうしたのそいつら」

「めんどくさかったから近くの川に落としてきた」

「火曜サスペンス」

まじで蓮の脳みそだけは一生理解できない。よく蓮と夕が一緒にいて、いつも食べ物のことで喧嘩しているが、お互い話が通じないのによく一緒にいれるものだ。



「愁ちゃんはー?」


夕の問いかけに、目を瞑っていた愁が静かに顔を上げる。


「てか愁ちゃん早かったよな」

「1番のりだろ?」

「だから律ちゃん拾えたんだよ」

「そうだった」


この中で1番強いのは誰かと言われたら、喧嘩したことなんてないから分からないが、俺は愁だと答える。


「何人くらい来た?」

「5人とかじゃね」

「愁ちゃん相手に5人って、死ににいくようなもんじゃん」

「雑魚だった」


そう言ってのける愁は喧嘩なんてしてないかのように飄々としていて、いつも返り血1つ浴びない。




「まぁ……、死んではないだろ」


我らが王は、簡単には崩せない。


【side end 如月陽介】
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