狂気のお姫様
そんな話をしていると、授業が始まり、いつものように、微睡む小田を、後ろからつついては起こす。
陽ちゃんにも、事情聴取並にいろいろ聞かれたが、あれは面倒だった。
しかも、私がお見合いをするということを、あのおチャラけ五人衆が知っていることが面倒だ。
会ったら何を言われるか……。
特にあの性悪チビに知られると、会った時に大声で何かしらを言われそうで嫌だ。
別に、周りに知られたら絶対にダメ、というわけではないけど、ただただ面倒。
さすがに陽ちゃんが口止めしてるか……?
「……なので、ここはこうなります。では次のページを……」
真面目に授業を聞きながら、シャーペンをカチカチ。
肌寒い季節になってきた。
そろそろカーディガンを出さなければ。
なんて、黒板を写しながら思っていると、携帯が光る。
チラリと見えた名前を、一旦気のせいだと思い、そっと画面を伏せる。
残念ながら、今は授業中なので…、私は何も見てませんよー。
そもそも、授業中だということを分かっているのか奴は。いや、奴らは。
授業中という概念がないのでは。
陽ちゃんは割と真面目に授業受けてるらしいけど……、まぁ地頭がいいしね。
あぁでも、金髪も頭が良かったっけ。学年上位だったよな。
「……ぇ………る…………」
「…………!……しょ!!!」
……………………待って。
おかしい。
授業中はまだ比較的静かな廊下から、聞こえてはならない者の声がする……ような気がする。
メッセージの内容を見た訳ではないけれど、頭の中で警報音が鳴る。今行かねぇとやべぇぞ、と。
そして、心做しか近づいてくる黄色い悲鳴混じりの騒音。
うたた寝の小田を放置し、静かに教室を出る。
そういえば、私の今日の運勢、あんまり良くなかったんだよな。
「あ!噂をすれば!!!!!」
当たってほしくなかったよ。
なんだよ、携帯を見ないフリした私が悪いのか!?
いや、私は悪くないぞ絶対に!!!
性悪チビ…もとい佐々木夕は、手を振りながら、紛れもなく私に近づいてくる。
やはりお前たちか。
「あれ、やっぱりメッセ見てた?」
そして隣には金髪野郎。
あまり見ないコンビだな……なんていう現実逃避はやめよう。そして、私に会いに来たということが自意識過剰でないことも認めよう。
「律ちゃんお見合………フゴッ」
そして直ちにこいつの口を縫い付け、場所をうつそう。
「佐々木さん、今授業中ですよ、なんの用ですか。そしてこんなところで何言いやがろうとしてるんすかまじで」
「律ちゃん律ちゃん、それはもう敬語じゃないよ、あと夕死んじゃう」
天に召されろ。