狂気のお姫様
「え…」
小さく漏れた声を、私は聞き逃さない。
「どうしたの?何か不都合でもある?1番手っ取り早いと思うけど」
言われたか、言われてないか、聞くのはそれだけなんだから。
「東堂…」
「多分聞いたら、私がそんなこと言ってないって分かると思うけど」
そう言うと、「まぁ、確かにそうだけど…」と納得はしてくれるらしい取り巻きたち。さて、鹿島杏奈さん。劣勢だけどどうするのかな。
「えーと、鹿島さん?だっけ?天に聞きに行けば?それか私が聞こうか?聞くだけだし」
「東堂…」
名前合ってるよね?感満載でそう言うと、またピクリと口元が動く。ちゃんとしておかないと化けの皮剥がれちゃうよ?
「もしかしたら私の勘違いかもしれないね…律ちゃん悪い人じゃ、なさそうだし…」
嫌々言ってるということがモロに伝わってきて、思わずニヤリと笑いそうになる。
そうだね。天に聞かれたらまずいもんね。私が聞いてみようなんて言うと思わなかったのかな?それとも、そこまで天と仲良くはないと思ってるのか。残念ながらあの変人たちは何かと私にかまってくるのでな。すごく不本意だが。
「東…堂…」
「あ、勘違いだって認めてくれるの?良かったー」
良かったなんて毛ほども思ってないけど、これで私が鹿島杏奈をいじめたなんてアホみたいな噂はやむだろう。こんだけ目立つところで話してるんだから。
もう迂闊に私の悪い噂を流せなくなるけど、次は何を仕掛けてくるのかな。
「東……堂……」
で、さっきから後ろで東堂東堂うるさいんだけど影武者!!!
「なんだよ小田さっきから…………ぐぇっ」
「えっ」
「うそっ」
文句言ってやろうと後ろを向こうとした瞬間、何かが背中に覆い被さった。
ちなみに声をあげたのは鹿島杏奈とその取り巻きたち。
はぁ、嫌な予感しかしない。