狂気のお姫様
「…え、と、どうも」
「壁になりたいのか」
「あ、なってます」
いやもう質問の意図も分からないので、訳の分からない返事をしてしまったが、長谷川さんは「そうか」と何かに納得してらっしゃる。
ていうか、近い。
「あの、なんでしょう」
「寝坊して、とりあえず飯買おうとここに来たらあいつらがいた」
それでなんで私に話しかけてくるんだよ。
「そしたら壁っぽい小田みたいな奴が見えたから話しかけてみた」
「へぇ…」
小田みたいな奴ではなく、正真正銘小田だがな。
ていうか寝坊云々よりその寝癖どうなってるんだ。そこだけ重力ないんじゃないか。
「言うべきか迷ったんですけど、寝癖すごいですよ」
「くそ…ワカメ食うか…」
「すいません理解が追いつきません」
理解ができなさすぎて素直に謝ってしまったじゃないか。
あかん。まともに話が通じねぇ。
みんな四ツ谷さんと羽賀さんに注目してるし、私もまあまあ陰になっているところで壁と同化してたので、長谷川さんに気づく人がいないのが幸いだが…、ちょっと誰かこの人回収してくれないか。
「マンゴー食ってんのか小田」
「いきなりですね。いや、食べてないですよ」
「泣くぞ」
なんでだよ。
マンゴーちゃっかりハマってんな。ていうかそもそもマンゴー最初にすすめたの東堂だわ。
「ちゃんと食べますね」
「そうしろ。じゃないとマンゴーも泣く」
泣かねぇよ。マンゴー泣きだしたらまあまあ世界中がパニックになる怪奇現象だわ。
「やっぱり修行はしないといけねぇな」
「なんのですか…」
だめだ、もうこの人まじでぶっ飛びすぎて訳が分からない。
「お前も修行するか小田」
東堂助けろ。助けろ東堂。
【side 小田奏見 end】