残念先輩って思われてますよ?

 俺は店員の女性に心の中でお礼を伝え、彼女と二人でお店の外に出る。

 まだ、夜の街はあちこち光が灯っていて、人々の喧騒も落ち着いていない。


「あの私、先輩のことが……」

「ごめん、待って」


 彼女は決死の顔をして俺に伝えようとするが手を前にだして彼女の言葉を無理やり遮る。
みると、明らかに顔に血の気がない。目を瞑り、顔が徐々に項垂れいくのが見えた。


「違うんだ。宗方さん……いや……璃子さん、俺から言わして欲しいんだ」


 そう言うと、俯きかけていた彼女の動きが止まった。


「宗方璃子さん──俺はあなたのことが好きです」


 言葉を続ける。


「今度、一緒にあのアニメの映画を観に行きませんか?」


 璃子さんは顔をあげると大粒の涙を拭おうともせずに俺に返事をする。








「はい、喜んでっ」





 小雨が降り(しき)る中、涙なのか雨露なのかわからない互いにぐしゃぐしゃになった顔で見つめ合いながら、彼女は俺が出した手をそっと取ってくれた……。





< 55 / 55 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:9

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ナルシストと恋は de キュン!

総文字数/60,632

恋愛(学園)106ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ある日、親友は言った。 「憧れている人がちょっと普通じゃないの」 団子……もとい親友のためにナルシスト男子・我壱鳴雄を尾行を始めた雛子とその親友美柑。 ちょっと普通じゃない、とな? わかる。わかるよ~雛子。 誰だって、憧れている人を特別視するもんさ。 そう高をくくっていたが……。 天性のナルシストである鳴雄は、店先で謎の「祈り」を捧げるたび売り上げを爆上げし、小学生にはポーズで笑いを取り、公園ではハトに埋もれながらキメ顔を決める超常的な存在だった。 極めつけは本屋で買った 『宇宙人が地球に潜む方法(実践編)』── 転んだ雛子をお姫様抱っこし、当然のように“下僕(ペット)”認定する鳴雄。 今日もまた信者(キュン民)が増殖中。 ……鳴雄、アレはたぶん人間じゃない。
私の愛する弟猫へ

総文字数/3,083

ノンフィクション・実話1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
弟猫への想いをつづった実話です。 よければ読んでください。
悪役令嬢に剣と花束を

総文字数/9,053

恋愛(キケン・ダーク)11ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大好きな彼女の首をこの手で刎ねた。 好きだから、こうするしかなかった。 彼女を愛している。これまでも、これからも……。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop