年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
 奥さまの言葉の真意が私にはわからなかった。

 だって、奥さま付きの侍女なのだ。奥さまのお世話をするのが私の役割。

 それに、私は奥さまのことが好きだし……。

「ですが、私の役目は奥さまのお世話ですよ」
「それはそうなんだけど……。なんて言えばいいのかしら。もっと自分のための時間を持ってってこと」
「自分のための時間?」

 呆然と言葉をつぶやいた。

「私が言えたことじゃないけど、もっと自分を大切にして。私のためじゃなくて、自分のために行動して」

 ……自分のための行動。

「クレアもマリンも、働き者だわ。私はあなたたちに感謝している。……だから、あなたたちにも幸せになってほしい」

 奥さまの水色の瞳が私を射貫く。……私たちの幸せ。

「もちろん、人それぞれ幸せの概念は違うわ。結婚が幸せだという人もいたら、仕事一筋が幸せだという人もいる。あなたが後者なら、私は構わない。……だけど、あなたはそうじゃないのでしょう?」

 まるで全部見抜かれているみたいだった。

「だから、今のうちに自分の幸せの概念を探してみて。若いうちにできることはやったほうがいいもの」
「……奥さま、なんだか一気に大人びましたね」

 いらっしゃったときからずっと大人びていたとは思うけど、最近どんどん拍車がかかっているというか。
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