年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
第12話 ときめきがすぎる
 名前を呼ばれて、アルロイさんを見る。彼の目はちょっと不機嫌そう。

「き、きれいな方でしたね!」

 上ずった声で感想を述べる。笑みを浮かべるものの、ちょっとぎこちないかも。

 多分、私、本当は彼女とアルロイさんの関係が知りたいんだ。

「あんなに背中が大きく空いたドレス、私には着れませんから。スタイルもいいし――」

 自然と早口になっていた。

 どうしてなのか、自分でもわからない。ただ、場の空気をなんとかしたかったのだと思う。

「――アルロイさんと並ぶと、とっても似合いそう」

 ぽつりとこぼれた言葉は、まるで嫉妬しているみたいだ。

 私みたいな地味な女よりも、彼女みたいなきれいな人のほうが彼には相応しいんだ。

「クレアさん?」

 名前を呼ばれて、私は彼からぷいっと顔を背けた。彼の視線を受けとめる勇気がなかった。
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