年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
(違う、違う。私はただの侍女。リスター家の使用人にすぎないのよ)

 決して、どこかのご令嬢になったわけじゃない。私はただの使用人で――元捨て子で。サイラスさんに拾われなかったら、ここにはいない存在だ。

(もし、もしもよ。私がアルロイさんと真剣にお付き合いをはじめたとして。……サイラスさんは、どう思うんだろう)

 私とマリンにとって、サイラスさんは養父だ。彼はすべてをささげて、私たちを育ててくれた。

(お付き合いの段階でなにも思わなくても、その先にある結婚はどう思うの? サイラスさんは――祝福してくれる?)

 一度考えると、ドツボにはまってしまう。頭を横に振って、考えを振り払う。

(けど、こんなことサイラスさん本人に聞くなんてできない。だれか、聞いてくれる人は――)

 考えたとき。頭の中に浮かんだのは、とある女性だった。

(同性だし、人生の先輩だし。彼女なら、私の相談に乗ってくれるんじゃない?)

 なんだかんだ言っても、私とマリンを気にかけてくれている。相談しても、邪険にされることはないだろう。

(明日にでも相談してみよう。――アネットさんなら、大丈夫)

 奥さまはご自分のことでいっぱいいっぱいだし、余計に悩ませたくない。だったらここは――アネットさんに相談するのが、最適だろう。
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