年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
「……だけど、幼いころの私は違ったんです。普通の家族に憧れていて、サイラスさんをたくさん困らせちゃいました」

 私とマリンがわがままを言うたびに、サイラスさんは困ったような表情をしていた。

 そのたびに、彼が裏で苦悩していたと、あとから知った。

「成長するにつれ、割り切ったはずだったんです。なのに、アネットさんとの関係が心地よくて。……お母さんみたいだなって」

 彼女が私を娘のように思ってくれているかは、わからない。伝えてしまったら、困らせるのが目に見えてわかるから。

 私はこの気持ちを一生伝えないと決めている。

「……私、わがままなんです。今以上の幸せを、求めてしまっている」

 アルロイさんのことだって、一緒。今で十分幸せなのだから、これ以上の幸せなんて求めるべきじゃない。

 ――わかっている、はずなんだけどな。
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