年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
 ぎこちなく笑った私を見た奥さまは、少し思案する。その後、私の手を両手で握ってくださった。

「幸せはどれだけ求めてもいいと思うわ」
「……そうでしょうか?」
「えぇ。だって、私がそうだもの」

 奥さまが目尻を下げて、片方の手を自身のお腹に当てた。

「ここに来れて、すごく幸せだった。けど、旦那様と一緒になって、もっと幸せになった。それが上限だって思ってたのに、リッカルドやお腹の子ができて、もっともっと幸せになったんだもの」

 私はそっと視線を逸らす。

「だから、幸せになることに臆病にならなくていいの。……私がここにきて、教えてもらったことの受け売りに過ぎないけど」

 なんでだろう。涙があふれてきた。

「もっと幸せになりたいと思うのは悪いことじゃないわ」

 嗚咽を漏らした私の背中を、奥さまの手のひらが撫でてくださる。その手の感触が心地いいはずなのに。やっぱり涙があふれてくる。

「あなたは優しいし素敵だもの。だから――もっともっと、幸せになれる」

 胸にしみこんでいく奥さまの言葉に、私はこくこくと首を縦に振った。

(もっと幸せを望んでいいんだ。……私、アルロイさんともきちんと向き合いたい)

 自分の気持ちから目を逸らすのは、もうやめよう。彼としっかり向き合って――答えを出したい。

 好きって言ってくれて、本当にすごく嬉しかったんだから。
< 56 / 62 >

この作品をシェア

pagetop