年下男子を好きになったら 〜戸惑い女史とうっかり王子の、なかなか始まらない恋のお話〜
なんでも件の彼女に「モテる男子と仲良くしてると、色々周囲から言われてしまうので、軽い気持ちで近寄らないでほしい」と言われたらしい。
「何があって、そんなことを言うのか聞いてみたんですけど、それについては絶対口を開こうとしないんですよ。でもそれじゃあこっちだってどうしていいのかわからないですよね?それで、今ここに来る前もちょっと言い合いになっちゃって……」
折角少しずつ彼女の信頼を得て距離が縮まってきたところだったのに、これではまた振り出しに戻ってしまった様だと、顔を手で覆うとため息をついて高橋君は話を続ける。
「好きな人が手に入らないどころか、自分の気持ちを信じてもらえないなんて……恋がここまで辛いものならば、こんな気持ちは知りたくなかったですよ」
落ち込み過ぎた反動からか感情が昂り次第に投げやりな口調になってくるのを感じ、思わず口を挟んでしまう。
「そんなこと言って諦めちゃうの?ずっと好きだったんでしょ?だったらもうちょっと頑張ってみたら?」
「……何をどうこれ以上頑張れって言うんです?俺は確かにチャラチャラした軽薄な付き合いばっかりしてきましたけど、彼女の事は今まで誰にも感じたことがないくらい大事にしたいと思ってるのに。なのに彼女は俺の言う事は信用しないくせに、周囲の噂話やどこかのお節介焼きの言う事は聞くんですよ?そんな彼女にこれ以上どうこの気持ちを伝えればいいんですか?……俺にはもうわかんないですよ!」
辛そうに顔をぐしゃぐしゃに歪めながらガクリと肩を落とすと、高橋君は吐き捨てるように胸の内を口にする。
「自分でいうのもなんですけど、俺、仕事もできる方だし、そこそこイケてる容姿って女子にも人気もあるんですよ?だったら『ちょっとくらい付きあってみてもいいかな?』って思ってくれたっていいじゃないですか!」
「……初恋の彼女が、見た目とか仕事の出来不出来とかで、すぐに心動かされちゃう軽い考え方する娘だったらよかったの?」
「違う、けど……!!」
ぐっと言葉を、詰まらせる高橋君を眺めながら、もしも自分が彼女の立場ならば、と考えてみる。
急に騒がしくなった周囲を元に戻したくて、取りあえず暴走気味な高橋君に釘を刺したってところが彼女の意図するところなのだろうか?
突然現れた高橋君にグイグイ迫られる一方で、周囲の噂も浴びるように聞かされるのでは、困惑するのも想像に難くない。
なんとなく、見たことのない彼女に同情をしてしまう。
高橋君ももうちょっと時間をかけて、相手のペースに合わせてあげればいいのにね。
「玉砕したら残念会でも開いて慰めてあげるから、高橋君がどんな人なのかわかってもらえるように、焦らないでもう少しゆっくり距離を縮めてみたら?せっかく奇跡的に再会できたんだから、もうちょっと足掻いてみなよ」
彼の肩をぽんぽん叩いてみる。
すると高橋君はこちらの声など聞こえているのかいないのか、ゆっくり顔を上げると感情の読めない暗い目で、こちらをじいっと見つめている。
「……だったら小西さん、今、慰めてくださいよ」
そう言うと、高橋君は肩に置いた私の手をギュッと掴むのだった。
「何があって、そんなことを言うのか聞いてみたんですけど、それについては絶対口を開こうとしないんですよ。でもそれじゃあこっちだってどうしていいのかわからないですよね?それで、今ここに来る前もちょっと言い合いになっちゃって……」
折角少しずつ彼女の信頼を得て距離が縮まってきたところだったのに、これではまた振り出しに戻ってしまった様だと、顔を手で覆うとため息をついて高橋君は話を続ける。
「好きな人が手に入らないどころか、自分の気持ちを信じてもらえないなんて……恋がここまで辛いものならば、こんな気持ちは知りたくなかったですよ」
落ち込み過ぎた反動からか感情が昂り次第に投げやりな口調になってくるのを感じ、思わず口を挟んでしまう。
「そんなこと言って諦めちゃうの?ずっと好きだったんでしょ?だったらもうちょっと頑張ってみたら?」
「……何をどうこれ以上頑張れって言うんです?俺は確かにチャラチャラした軽薄な付き合いばっかりしてきましたけど、彼女の事は今まで誰にも感じたことがないくらい大事にしたいと思ってるのに。なのに彼女は俺の言う事は信用しないくせに、周囲の噂話やどこかのお節介焼きの言う事は聞くんですよ?そんな彼女にこれ以上どうこの気持ちを伝えればいいんですか?……俺にはもうわかんないですよ!」
辛そうに顔をぐしゃぐしゃに歪めながらガクリと肩を落とすと、高橋君は吐き捨てるように胸の内を口にする。
「自分でいうのもなんですけど、俺、仕事もできる方だし、そこそこイケてる容姿って女子にも人気もあるんですよ?だったら『ちょっとくらい付きあってみてもいいかな?』って思ってくれたっていいじゃないですか!」
「……初恋の彼女が、見た目とか仕事の出来不出来とかで、すぐに心動かされちゃう軽い考え方する娘だったらよかったの?」
「違う、けど……!!」
ぐっと言葉を、詰まらせる高橋君を眺めながら、もしも自分が彼女の立場ならば、と考えてみる。
急に騒がしくなった周囲を元に戻したくて、取りあえず暴走気味な高橋君に釘を刺したってところが彼女の意図するところなのだろうか?
突然現れた高橋君にグイグイ迫られる一方で、周囲の噂も浴びるように聞かされるのでは、困惑するのも想像に難くない。
なんとなく、見たことのない彼女に同情をしてしまう。
高橋君ももうちょっと時間をかけて、相手のペースに合わせてあげればいいのにね。
「玉砕したら残念会でも開いて慰めてあげるから、高橋君がどんな人なのかわかってもらえるように、焦らないでもう少しゆっくり距離を縮めてみたら?せっかく奇跡的に再会できたんだから、もうちょっと足掻いてみなよ」
彼の肩をぽんぽん叩いてみる。
すると高橋君はこちらの声など聞こえているのかいないのか、ゆっくり顔を上げると感情の読めない暗い目で、こちらをじいっと見つめている。
「……だったら小西さん、今、慰めてくださいよ」
そう言うと、高橋君は肩に置いた私の手をギュッと掴むのだった。