蜜月と甘い嘘 〜忘れられた辣腕社長は記憶を無くした花嫁を離さない〜
「ああそれは……。ごめん。僕のカッコつけ……かな」
「……え?」
見上げると目に入ったのは口元に手をやり、気まずげに明後日の方に視線を向けている美しい男性の姿だった。
「どういう意味?」
「だってさ、本来ならば一目惚れした自分から連絡先を聞かないといけないのに、女性から先に言わせてるんだよ?……そこは男として、やっぱり事実を改ざんしてでも『自分から声をかけた』ことにしておきたいよね」
一目惚れした、という言葉に胸の鼓動が激しくなる。
「で、でも、酔っぱらいから助けてくれたんでしょ?それだけでもう充分格好いいじゃない」
「そんな高尚なことなんかじゃないよ。声をかけに行こうとしたら先にその人が久美達に絡んできたから、結果的に助けたみたいになっただけさ」
「じゃあ嘘をついた訳は……?」
「久美が忘れているのをいい事に、カッコいい自分をアピールしておきたかった僕の浅はかさからきたものでした……。ごめん」
スーツを着崩した社会的地位のある美しい男性が、しょんぼりとした表情で自分に向かって頭を下げている。こちらが勝手に怒り出した、殆ど八つ当たりにも近いような下らない内容のことだというのに。
頬にじわじわ熱が上り、恋情ともまた違うゾクゾクとした甘い震えが体を走る。まるで優越感にも似たその感情は――。
――ああ、そうか。だから私はずっと靄々としていたのか。
「……私、多分昴さんが先に好きになってくれていたって聞いて、ちょっと自惚れてたのかもしれない。昴さんは私のことが好きで仕方がないんだなって」
視線を合わせられなくて下を向いていると、腕を掴まれグイと体を引き寄せられた。
「馬鹿だなあ。もっと自惚れていいんだよ。だって僕は久美の事を初めて会った時から手に入れたくて仕方がなかったんだから」
気がつくと体は彼の腕の中に包まれている。密着した胸からはドクドク脈打つ鼓動と体温が伝わり、熱を孕んだ声と吐息が耳元をくすぐる。
「僕はね、久美が想像している以上に久美の事が好きなんだよ」
クイと顎を掴まれ顔を上向きにさせられると、見間違えようがない程に情熱を湛えた煌めく瞳が近づいてくる。
「……え?」
見上げると目に入ったのは口元に手をやり、気まずげに明後日の方に視線を向けている美しい男性の姿だった。
「どういう意味?」
「だってさ、本来ならば一目惚れした自分から連絡先を聞かないといけないのに、女性から先に言わせてるんだよ?……そこは男として、やっぱり事実を改ざんしてでも『自分から声をかけた』ことにしておきたいよね」
一目惚れした、という言葉に胸の鼓動が激しくなる。
「で、でも、酔っぱらいから助けてくれたんでしょ?それだけでもう充分格好いいじゃない」
「そんな高尚なことなんかじゃないよ。声をかけに行こうとしたら先にその人が久美達に絡んできたから、結果的に助けたみたいになっただけさ」
「じゃあ嘘をついた訳は……?」
「久美が忘れているのをいい事に、カッコいい自分をアピールしておきたかった僕の浅はかさからきたものでした……。ごめん」
スーツを着崩した社会的地位のある美しい男性が、しょんぼりとした表情で自分に向かって頭を下げている。こちらが勝手に怒り出した、殆ど八つ当たりにも近いような下らない内容のことだというのに。
頬にじわじわ熱が上り、恋情ともまた違うゾクゾクとした甘い震えが体を走る。まるで優越感にも似たその感情は――。
――ああ、そうか。だから私はずっと靄々としていたのか。
「……私、多分昴さんが先に好きになってくれていたって聞いて、ちょっと自惚れてたのかもしれない。昴さんは私のことが好きで仕方がないんだなって」
視線を合わせられなくて下を向いていると、腕を掴まれグイと体を引き寄せられた。
「馬鹿だなあ。もっと自惚れていいんだよ。だって僕は久美の事を初めて会った時から手に入れたくて仕方がなかったんだから」
気がつくと体は彼の腕の中に包まれている。密着した胸からはドクドク脈打つ鼓動と体温が伝わり、熱を孕んだ声と吐息が耳元をくすぐる。
「僕はね、久美が想像している以上に久美の事が好きなんだよ」
クイと顎を掴まれ顔を上向きにさせられると、見間違えようがない程に情熱を湛えた煌めく瞳が近づいてくる。