早河シリーズ最終幕【人形劇】
赤坂ロイヤルホテル三十四階。展望ラウンジのカウンターでは昨夜と同じ席で佐藤瞬とスパイダーが背中を並べていた。
『スコーピオンが配置についたようだ』
スパイダーのノートパソコンにはスコーピオンのGPS情報が表示されている。彼のパソコンには他のメンバーのGPS情報も逐一届く。
『ファントムも目的地に到着する。ここから四谷は近いからね』
『そうか』
懐に忍ばせた拳銃の存在を確かめて佐藤が席を立つ。佐藤の素顔を覆う三浦英司のマスクも今では見慣れたものだ。
『一応聞くけど、君はどちら側?』
『何の事だ?』
煙草の吸殻を佐藤はテーブルの灰皿ではなく自身の持つ携帯灰皿に捨てた。
スパイダーはガラス張りの窓の向こうに視線をやる。冬晴れの下に沈殿する灰色の建造物は今日も変わらず無表情だ。
『“パンドラの箱”。僕が何も知らないとでも思ってる?』
席を離れかけた佐藤はひっそり笑った。彼はスパイダーに背を向けたまま答える。
『いや? 想定内だ』
『そう。……JSホールディングス爆破の件で気になることがあったから、成田空港の入国記録を調べてみた。12月7日の記録に見知った名前を見つけたよ』
『それが?』
『これも想定内?』
数秒間の沈黙の後に佐藤は胸ポケットから取り出したカードをスパイダーの前に置いた。
『頼む』
カードを一瞥したスパイダーは溜息をついてカードを手にする。佐藤の眼鏡の奥の双眸に彼の意図が読み取れた。
『早く行きなよ。早河探偵と刑事がこっちに向かってる』
広い背中がラウンジを出るのを見届けたスパイダーは手元のカードを指で弾いた。
佐藤から受け取ったカードはホテルのカードキー。ナンバーは3003。
『頼むって言われてもねぇ。自分で迎えに行けばいいのに』
キーを二度押すとノートパソコンの画面が切り替わった。ホテルに設置された監視カメラの映像が流れ、ロビーを横切る早河仁と小山真紀の姿が映し出される。
すべてスパイダーの思惑通りだった。
『スコーピオンが配置についたようだ』
スパイダーのノートパソコンにはスコーピオンのGPS情報が表示されている。彼のパソコンには他のメンバーのGPS情報も逐一届く。
『ファントムも目的地に到着する。ここから四谷は近いからね』
『そうか』
懐に忍ばせた拳銃の存在を確かめて佐藤が席を立つ。佐藤の素顔を覆う三浦英司のマスクも今では見慣れたものだ。
『一応聞くけど、君はどちら側?』
『何の事だ?』
煙草の吸殻を佐藤はテーブルの灰皿ではなく自身の持つ携帯灰皿に捨てた。
スパイダーはガラス張りの窓の向こうに視線をやる。冬晴れの下に沈殿する灰色の建造物は今日も変わらず無表情だ。
『“パンドラの箱”。僕が何も知らないとでも思ってる?』
席を離れかけた佐藤はひっそり笑った。彼はスパイダーに背を向けたまま答える。
『いや? 想定内だ』
『そう。……JSホールディングス爆破の件で気になることがあったから、成田空港の入国記録を調べてみた。12月7日の記録に見知った名前を見つけたよ』
『それが?』
『これも想定内?』
数秒間の沈黙の後に佐藤は胸ポケットから取り出したカードをスパイダーの前に置いた。
『頼む』
カードを一瞥したスパイダーは溜息をついてカードを手にする。佐藤の眼鏡の奥の双眸に彼の意図が読み取れた。
『早く行きなよ。早河探偵と刑事がこっちに向かってる』
広い背中がラウンジを出るのを見届けたスパイダーは手元のカードを指で弾いた。
佐藤から受け取ったカードはホテルのカードキー。ナンバーは3003。
『頼むって言われてもねぇ。自分で迎えに行けばいいのに』
キーを二度押すとノートパソコンの画面が切り替わった。ホテルに設置された監視カメラの映像が流れ、ロビーを横切る早河仁と小山真紀の姿が映し出される。
すべてスパイダーの思惑通りだった。