早河シリーズ短編集【masquerade】
5月14日(Mon)
「おはようございます」
『おはよう、木村さん』
ブルーミングハウストータルコーディネート部のフロアに美月が入ると、部長の安藤光太が観葉植物に水やりをしていた。フロアには美月と安藤しかいない。
『木村さんオレンジ好き?』
「オレンジですか? はい、好きですよ」
『娘と一緒に作ったオレンジパウンドケーキ持って来たんだ。昼休みのデザートに皆に食べてもらおうと思ってね』
物腰の穏やかな安藤部長の趣味はスイーツ作り。小学生の娘と作った手作り菓子をたびたび会社に持参して部下に配っている。
「わぁ! 部長の手作りケーキ大好きなんです。お昼休み楽しみにしています」
『それは良かった。木村さんは今日は……』
安藤がホワイトボードを一瞥する。ホワイトボードの予定表の美月の欄は14時~16時までショールームとなっていた。
『午後から池田くんとショールームだね。頑張ってね』
「はいっ」
今日のショールーム業務のペアは池田だった。隼人や同期の亀山、鈴川までもが池田に関しては意味深な物言いをする。
彼に気を付けた方がいいのはわかっているが、同じ職場ではどうしても関わりを持つ。
出社してきた池田は今日も爽やかな笑顔を振り撒いている。彼は新入社員の仲間達や先輩社員の間でもすっかり頼られる存在になっていた。
(そういえば麻子ちゃんと鈴川くんはどうなったんだろ。あれから二人とも何の連絡もないなぁ)
偶然にも麻子と鈴川の双方からゴールデンウィークのハプニングの話を聞いたのは先週の木曜日だ。週末を越して二人に進展はあったのか、話を聞いてしまった以上は気になるところではある。
午前の業務は滞りなく過ぎて、昼休みは安藤部長手作りのオレンジパウンドケーキをご馳走になった。初夏の時期にぴったりな、爽やかな甘さのあるケーキだった。
午後2時からは二度目のショールーム業務。まだ緊張は残るが、前回よりはスムーズに仕事ができている気がする。
相方の池田はさすがの要領の良さと物覚えの速さでテキパキ仕事をこなしていた。池田の仕事の正確さとスピーディーな処理能力は、指導係の新見千鶴も舌を巻くほどだ。
「おはようございます」
『おはよう、木村さん』
ブルーミングハウストータルコーディネート部のフロアに美月が入ると、部長の安藤光太が観葉植物に水やりをしていた。フロアには美月と安藤しかいない。
『木村さんオレンジ好き?』
「オレンジですか? はい、好きですよ」
『娘と一緒に作ったオレンジパウンドケーキ持って来たんだ。昼休みのデザートに皆に食べてもらおうと思ってね』
物腰の穏やかな安藤部長の趣味はスイーツ作り。小学生の娘と作った手作り菓子をたびたび会社に持参して部下に配っている。
「わぁ! 部長の手作りケーキ大好きなんです。お昼休み楽しみにしています」
『それは良かった。木村さんは今日は……』
安藤がホワイトボードを一瞥する。ホワイトボードの予定表の美月の欄は14時~16時までショールームとなっていた。
『午後から池田くんとショールームだね。頑張ってね』
「はいっ」
今日のショールーム業務のペアは池田だった。隼人や同期の亀山、鈴川までもが池田に関しては意味深な物言いをする。
彼に気を付けた方がいいのはわかっているが、同じ職場ではどうしても関わりを持つ。
出社してきた池田は今日も爽やかな笑顔を振り撒いている。彼は新入社員の仲間達や先輩社員の間でもすっかり頼られる存在になっていた。
(そういえば麻子ちゃんと鈴川くんはどうなったんだろ。あれから二人とも何の連絡もないなぁ)
偶然にも麻子と鈴川の双方からゴールデンウィークのハプニングの話を聞いたのは先週の木曜日だ。週末を越して二人に進展はあったのか、話を聞いてしまった以上は気になるところではある。
午前の業務は滞りなく過ぎて、昼休みは安藤部長手作りのオレンジパウンドケーキをご馳走になった。初夏の時期にぴったりな、爽やかな甘さのあるケーキだった。
午後2時からは二度目のショールーム業務。まだ緊張は残るが、前回よりはスムーズに仕事ができている気がする。
相方の池田はさすがの要領の良さと物覚えの速さでテキパキ仕事をこなしていた。池田の仕事の正確さとスピーディーな処理能力は、指導係の新見千鶴も舌を巻くほどだ。